2012年03月28日(水)
開催:2012.2.18
A分科会 景観まちづくり 報告
「景観まちづくり」をテーマとするA分科会は、A-1(修徳学区) A-2(伏見)A-3(京都駅周辺)の3コースに分けられていました。その中の景観論争・景観政策のきっかけとなった駅周辺を巡るA-3コースに参加しました。
A-3コースは、京都駅に集合し、1997年(平成9年)に建替えられた京都駅ビル(高さ60m、横幅470m奥行80m)のボリュウムを歩いて体感し、対面の景観論争の発端となった京都タワーを望み、巨大建築が与える景観への影響を肌で感じながら考察します。その後、烏丸通りを北上し、眺望景観のきっかけとなった「渉成園」の庭園を廻り、建築と景観の関わりの中でこれからのまちを考え、東本願寺へ向かいます。東本願寺では、御影堂を始め、工事中の阿弥陀堂・その他非公開建物も含めた諸殿を拝観するというコースです。
京都駅では、前夜からの思わぬ積雪のため屋上庭園に上がれず、コースのショートカットを余儀なくされたハプニングはありましたが、雪化粧をした町並みはとても美しく、印象深いフィールドワークとなりました。
京都駅周辺は、時代の近代化と脈々と受け継がれてきた歴史と文化が融合(?)する、他都市では見られない地域かも知れません。駅ビルのアトリュウム空間を目の当たりにして、大伽藍が建設された当時、人々はどんな驚きと畏敬の念を持っただろうと、思いを馳せました。
ビル屋上に建つ京都タワーは、緑豊かな「渉成園」からも東本願寺の各所からも見えます。見慣れた景色として「シンボル化」して来ている現状において、「馴染む」という事をもう一度考えてみたいと思いました。
東本願寺では、100年単位で修復されていく建物に、多くの信者の思いと重ねられてきた時間の流れを感じ、建築物単体だけではない、奥深い空間体験ができました。が、参拝接待所の地下2階にある、近代的な視聴覚ホール。ここにも、今までの歴史とこれからの歴史の接点がありました。
分科会は、3コース一緒に行われ、他のコースに参加された人達の話も聞く事ができました。どのコースの人も一様に、京都の人は、自分の住んでいる地域を愛している。地域を愛しているからこそ、コミュニティが存続出来、景観が守られていくのだろう。と感じられたようです。守ってゆくものと、新しく受け入れるものを見極めるしたたかさを私達も持ちたいと思いました。風土で育まれた文化を残し、継承しながら豊かに暮らせる地域づくりを考える中で、私達女性建築士としての役割の大きさと必要性を再確認した一日でした。
(M.K)