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建築士会について

Doシリーズ No.60 民家移築再生の魅力とプロセスを学ぶ

2012年02月16日(木)

報告:2012.2.12開催

 

2月12日 高島市の島村葭商店にて、「民家移築再生とプロセスを学ぶ」の勉強会を行いました。季節柄、雪模様が気がかりでしたが、お天気にも恵まれました。参加者は会員12名、会員外6名の合計18名です。民家再生の設計を手掛けておられる木下龍一氏の講演を聞かせて頂き、会場となった、古民家を移築された島村邸の見学。見学の際には、葭葺き職人として古材と民家に深く関わってこられた島村葭商店前代表に案内して頂きました。その後、島村葭商店2号館・古良慕(コラボ)へ移動し、古材、古建具などを鑑賞しながらカフェタイム、フリーディスカッションとなりました。20年前の移築とは思えない程きれいな漆喰壁に感動でした。

木下龍一氏は、1976年、若狭街道沿いに建つ古民家の内部に入った時、柱と梁が織成す架構空間と、光の構成の美しさに感動し、それから民家の虜になられたそうです。再生された民家は地域の景観を育み、人々の心に安心を与え、郷土の風景を維持する貴重な役割を荷ってゆくものとおっしゃいます。また、民家再生行為の実践の中から、自然素材を巧みに造形してきた先人の伝統工法を身に付け、次代に継承してゆく事の重要さも力説されました。

本来は、現地再生が最も望まれるものですが、諸事情で現地再生出来ないものは、丁寧に解体(ほどき)、縁が生まれるまで大事に保管されているとの事。その材が経てきた時間や係わった人々の思いも込めて、心を共に、次の継承者に託したいと…。だから、縁が生まれ、移築再生される時は、「お嫁に行く」と言われるそうです。また、「けやき、さくら、くりに古材無し。」と言われ、どんなに小さな木片でも、使い道はあるので、大事にとって置くようにとの事。

木下龍一氏、島村葭商店さんの古材に向き合う姿勢に感銘を受けました。

みなさんご存じでしたか?葭葺き屋根の棟に、草花が生えているのは、鳥が種を落としたのでは無く、棟飾りと言って、ちゃんと植えているのです。屋根の湿気を吸収してくれるそうです。

民家は、日本の風土と日本人の感性によって作られた日本の文化です。

先人の声を聞き、技を学び、次代にきちんと伝えて行く。そんな責務を改めて胸に刻んだ1日でした。

(M.K)

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