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建築士会について

令和6年度 第33回全国女性建築士連絡協議会(東京)

2024年07月15日(月)

令和6年7月14日、15日 東京の日本建築学会建築会館にてZOOM併用で開催されました。

 メインテーマは、未来へつなぐ「まち・ひと・建築」、サブテーマは~インクルーシブな社会を目指して~。滋賀からは6名が現地参加しました。

(1日目)

 まず、令和6年能登半島地震の被災地である石川、富山、福井それぞれの被害の実態や、新潟からは県内被害と建築士会の動きについて、また岡山県からは2018年に起こった西日本豪雨の被災地の現在と士会の活動について報告がありました。

 基調講演は2部構成となっており、1部はTOTO株式会社 真島 香氏による「一人でも多くの人に使いやすいパブリックトイレを目指して」、2部は株式会社日建設計 畑島 楓氏によるインクルーシブな社会を目指して-トイレから誰もが使いやすい建築を考える~の講演でした。真島氏からは多様な利用者が感じるトイレの使いづらさをなくす工夫や、オフィストイレで叶えるウェルビーイング(健康、幸福)といった新たな概念、また畑島氏からは、「誰が使うか」ではなく「どう使うか」を考えてデザインすることや、ジェンダーレストイレが抱える問題点などについてご講演いただきました。

(2日目)                        

G分科会 『未来につなぐ環境建築への取り組み~地方の建築技術ができること~』

参加者:40名 Zoom参加者:7名 合計47名 (滋賀県女性委員会 参加者:6名)

 2050年までのカーボンニュートラルの実現や2025年からの省エネ基準の適合義務化を踏まえ、各県での環境建築についての取り組みがなされている中、今回、沖縄での気候風土に合わせた住宅実例のお話を沖縄県建築士会 松田 まり子さま、大分県において取り組みされてます『建築物グリーン化促進事業』についてのお話を大分県建築士会 板場 奈美さまの講演に参加させていただきました。

①     沖縄型気候風土適応住宅の特性を考える

沖縄県建築士会 松田 まり子さま

沖縄県では、2022年4月に気候風土適応住宅認定基準を制定されました。沖縄県は、強い日差し、年間を通して吹く強い風、高い湿度、台風による暴風という気象条件があります。建物における日射遮蔽、建物内部にこもってしまう内部熱を風通しを良くすることで熱を逃がしていくという環境を調整する技術基準として沖縄県では沖縄県の気候風土適応住宅認定基準の中に『緩衝領域型住宅』と呼ばれています住宅のご紹介をいただきました。

構造 RC造 平屋 敷地は、沖縄市の低層住宅地の中で少し丘になったところに位置し風が通り抜けしやすい場所。沖縄が台風の常襲地で、紫外線が強く、海風による塩害も著しい地域です。本土と気象が異なり断熱というよりも、熱が建物内にこもりやすいということで、いかに建物内の熱を逃がす放射と日射遮蔽に工夫をされてました。

RC壁で囲いこんでしまう建物ではなく、敷地周辺の建物状況から敷地の風通りをCFD解析を行って風通しがよくなる部分に開口部と花ブロックを配置計画されておりました。花ブロックを介しての光が入るリビングはやさしく光が拡散し輝度分布が一定になり照明エネルギー削減にも貢献していました。また建物を白い遮熱塗料で塗装し日射遮蔽、遮熱ブロックを用いて建物全体の表面温度を抑える工夫がされていました。省エネ住宅の基本である高気密高断熱住宅の仕様ではなく、逆に気密を低くし、常時開放窓を設け、家全体の空気が隙間から流すことにより、24時間換気設備を設置することなく沖縄の風通りを利用することで沖縄らしい涼しさの中で暮らせる住まいとなるよう工夫されてました。沖縄では湿度もあることから、24時間換気の給気口にカビが発生してしまうことも多くあるため風をあえて取り入れる工夫が沖縄らしいと感じました。本土にはない気象条件ですが、世界の亜熱帯の国でも取り入れることができる工夫が凝らされた住宅だと感じました。

②     大分県建築物グリーン促進事業の取り組みについて

大分県建築士会 板場 奈美さま

大分県では、建築物グリーン化促進事業として住宅・建築物の環境品質の向上を目指し、省エネ建築物の普及促進の体制を整備されました。①ネットワーク体制の構築、②省エネ建築物の検証、③技術者への啓発、④意識の醸成として活動内容をご紹介いただきました。

①     ネットワーク体制の構築

大分県建築士事務所協会をはじめとする建築関係団体、建築教育団体等の団体でネットワークを構築。

各団体と合わせて会議を行い、特設HP開設、省エネ建築物の検証、技術者向けの研修の実施、大分県版指針・事例集の作成、県民向けフォーラムの開催を実施されました。

②     省エネ建築物の検証

大分県内の省エネ建築物としてZEB実績、ZEH実績の建築物が県内にどれだけあるのか調査を行い、大分県初のZEB建築物である日本電工本社ビルに現地視察。改修ZEB建築物が大分県内にはなかったため、久留米市へ赴き久留米市環境部庁舎へ現地視察されました。その現地視察等で集められた情報をもとに、事例集概要版の冊子作製と特設HP内にアップされました。

③     技術者への啓発

省エネ事例や省エネ適判申請の留意事項など技術者向け研修会を行われていました。

令和5年度に大分県版省エネ住宅設計指針として、新築または改修の戸建住宅・共同住宅を対象とした『おおいためじろオシ住まいガイドライン~地球と人にやさしい暮らしを目指して~』の作成。快適で、経済的で、健康な生活が可能な優れた環境品質を備えたレベルの推奨基準を設けられました。

④     意識の醸成

県民向けフォーラムの開催として、講演や県内設計・施工従事者、うちエコ診断士、建築学生と共にトークセッション、小学生10名による省エネに関する発表会を開催されました。なかなか集客人数が思うようにならないこともあり思考錯誤しておられました。

沖縄県の環境特性に合わせた省エネ設計、大分県の省エネへの関心を県民に向けて取り組みをされていることを学ぶことができました。今後、地域の環境特性に合わせた省エネ設計をしていくことで、未来のこどもたちの環境を守ることにつながるということを意識して設計に取り組んでいきたいなと感じました。

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