2023年07月30日(日)
7月29日・30日の2日間、金沢市文化ホールを会場にオンライン併用で、第32回全国女性建築士連絡協議会(石川)が開催されました。テーマは、「守り・育て・受け継がれる技術、手仕事」~伝統工芸と建築~。会場とオンライン参加者合計358名の内、滋賀県から会場5名、オンライン1名の、6名が参加しました。被災地報告では東北ブロック会から「東北~復興支援道路が全線開通して」と題し、青森県・岩手県・宮城県・福島県が合同で三陸復興道路を北から南へドライブレコーダーで撮影しての報告、活動報告では「静岡県における木造住宅の耐震化の取り組み」と題して静岡県くらし・環境部建築安全推進課 建築耐震班長 市川府元氏からの報告がありました。基調講演は、石川らしい文化でおもてなし 北陸新幹線金沢駅舎は伝統工芸による「美術館のような金沢駅」と題し、講師は金沢学院大学名誉教授 大場吉美氏でした。日本らしさを、いしかわ人の創造性と感性で表現された金沢駅舎。伝統工芸で人々を迎える空間づくりは、挑戦だったと表現されていたのが印象的でした。交流会のワンバイワンでは、滋賀県から昨年度の女性委員会活動報告を行いました。
分科会報告
B分科会「バリアフリーのまちづくり/みんなで考えるバリアフリー」:障がいのあるなしに関わらず心置きなく行きたいところにいけるようになればとの思いを持つ建築士 佐藤さんと、自らも障がいを持ちながら観光案内施設の職員として施設のバリアフリー調査を行い、様々な障がい当事者からの声を受けているふくしまバリアフリーセンター長の佐藤さんがタッグを組んで施設バリアフリー化のアドバイスを行い、その事例報告がありました。障がいを持つ人もその内容は色々です。特に建築士はそのユーザー視点の思いを見える化し写真等の活用によって、障がいを持つ本人に対して困っている内容を尋ねることが重要だとの報告がありました。誰もが、自由に行きたいところに観光に出かけ、楽しみ、喜ぶことができるように、今回学ばせて頂きましたことを今後の設計関係の仕事などに於いても活かし、まちづくりにも役立つことができれば、少しずつ住みやすい出かけやすい世の中になっていくのでは、と思いました。
D分科会「住まい・まちづくりを考えよう~小中学生の住教育出前授業~」:大阪府内の小中学校の家庭科の授業で、子供たちが自分をとりまく住環境についてわかりやすく楽しく飽きずに学ぶために建築士が取り組まれている内容を拝聴しました。①世界の様々な家の話、②熱環境の話、③まちと防災、④ユメのイエ・ユメのマチ、⑤先生に向けた講座の5本立てで各講座を2時限~4時限授業とし、スライドで見せるだけでなく子供たちにクイズ形式で問いかけたり、白杖を準備して障害者の白杖ガイド体験、理想の住まいを考えスケッチしたり、グループで話し合いし画用紙やマーカー等を使って住まいの模型を作成したりと、子供たちが体験して考えられる授業内容とされており、取り組み内容や準備されているスライドの内容が充実しており素晴らしと感じました。発表終わりの質疑応答についても、愛知県、神奈川県、福井県などそれぞれが取り組まれている小中学校の出前授業の取り組みを聞かせていただき、各県が取り組まれている中での悩み、アイデア、運営方法など様々な質問が尽きることはありませんでした。
E分科会「徳島型気候風土適応住宅 基準策定への取組み:建築物省エネ法の改正により、伝統的構法の住宅は外皮性能への適合が困難になることから、国による「気候風土適応住宅」の認定基準が策定され、基準に適合する場合、外皮基準について適用除外されることとなりました。徳島建築士会では、地域の建築文化を次世代に継承するべく、徳島県の独自基準「徳島型気候風土適応住宅」の策定を行い、その取り組みについて紹介されました。徳島県のエリアごとの建物の特徴調査や仕様策定の方法等、興味深い話が伺えました。独自基準を策定したが審査が通らず、今の内容では伝統技術が継承できなくなることが危惧され、今後も継続して国と交渉していく方針とのことで、意見交換でも応援する声が上がりました。