2019年02月09日(土)
2月9日(土)、Doシリーズ№79「蘆花浅水荘でワークショップ~ミニスツールの座面を編む~」を開催しました。会場となる大津市の蘆花浅水荘(記恩寺)は大正10年(1921年)日本画家山元春挙の別邸として建てられた数寄屋建築で、国の重要文化財に指定されています。大津市指定文化財名勝の庭園を一望できる署員がワークショップ会場となりました。冷え込む日となりましたが、21名の参加者がありました。
ワークショップの講師には、家具職人でスープファニチャー代表 雄倉高秋氏をお招きしました。最初に簡単なレクチャーを受けた後、3種類あるスツールの本体を選ぶところから始まりました。次に座面となるペーパーコード(紙紐)の色を選んで、さあスタートです!最初は手間取っていた参加者の皆さんも何往復も編み進めるうちに慣れてきて、ペーパーコードの色の配分に工夫を凝らす方もおられました。寒い日でしたが段々気にならないほどの熱気が感じられるようになり、ただひたすら黙々と編み続け、予定時間をオーバーするほど没頭する姿が多く見られました。完成したミニスツールは多彩な色柄に富み、各々の個性あふれる作品ができました。
ワークショップ終了後は、会場である蘆花浅水荘の見学会を行いました。山元春挙の孫である山元寛昭氏から概要についてお伺いした後、蘆花浅水荘 専門員の末富孝也氏より、建物のこと、山元春挙やその作品について、建物内を案内していただきながら解説してくださいました。庭の水鉢の水面に映る月を楽しむ事ができるという茶室「沙香亭」や、「無尽蔵」と呼ばれる画想を練るための小部屋、画室であった2階の「本堂」や応接室など建物内部をじっくり見学することができました。
山元春挙はこの別荘を自身や子孫のためだけに建てたわけではないそうです。「膳所町制施行三十年記念史」の中で「美術工藝其他の人々の集會場に解放し充介利用して貰ひたいと希望してゐる」と述べており、人々の役に立ててほしいという思いを伺い知ることができます。また中秋の名月にはお月見の会を開催し地域の方に解放されているそうです。そのようなお話を伺いながら、この素晴らしい邸宅がこの先も地域にしっかりと根を張り、琵琶湖のほとりでその静かな佇まいを保ちながら存続していく、そんな姿が脳裏に浮かびました。今回、このような貴重な場を見せていただきましたことをお礼申し上げます。