集合写真
9月18日(土)、まだ残暑の厳しい中、奈良県西大寺で近畿建築士会協議会女性部会合同見学会「平城遷都1300年祭と第一次大極殿」が開催されました。近畿圏全域から総勢60名(滋賀県からは7名)の参加で、独立行政法人国立文化財機構の奈良文化財研究所 文化遺跡部建造物研究室の島田敏男室長による午前中は「第一次大極殿(平城宮の中心施設)の復原」についての講演、午後は現地見学という丸一日かけての勉強会でした。
「古代の建築物の復原」というのは発掘遺構・遺物、その他文献資料・絵画資料、現存する古代建築の分析などから推定される数多くの可能性の中から「一番可能性が高いであろうと思われる一説を表現した物である」という考え方だそうです。
第一次大極殿の遺構からは基壇と建物の平面規模しかわからず、基壇の詳細な形状は瓦・石といった遺物・「年中行事絵巻」などの絵画資料から検証・推定されます。上に建つ木造部分の形を推定する直接の資料はさらに限られているため、現存する古代建築を調査することで遺構から復原される基壇と建物平面に合致する建築物を推定するそうです。ひとつひとつの可能性を分析し検証を積み上げ、最終的に一つの「復原建築物」の設計図を作り上げる過程を、スライドを交えながらわかりやすく説明していただき、普段なじみの無い「古代の建築物の復原」という膨大なプロセスを大変興味深く学ぶことができました。平城遷都1300年祭に合わせて復原された第一次大極殿は、構造的安全を確保しながら、できる限り当時の建築工法を忠実に再現したい、という研究者の想いから免震構造が採用されています。
昼食は古代食を現代風にアレンジしたものをいただきながら、他県の建築士会の皆様と楽しく歓談しました。他県の建築士同士で交流を持ち情報交換できる機会はとても貴重ですので、このような機会を活用し、建築士としての知識や意識の向上に励んでいきたいなと思った熱い(暑い)一日でした。
第一次太極殿 外観見学
第一次太極殿 内部見学
東院庭園 隅楼の見学
東院庭園 平橋と中央建物
遺構展示館